自衛隊にも看護師がいるってご存知でしたか？
自衛隊看護師と呼ばれ、看護師でありながら自衛官でもあるといった特殊な勤務形態となります。
看護師とはいえ、自衛官となると特別職の国家公務員になるので、自衛看護師になるためには民間の病院で看護師として働く場合とは異なるルートになります。
今回は、自衛看護師になるにはどうすればいいのか、一般の看護師と異なる点、利点や注意点を紹介していきます！
自衛看護師になるには
方法1. 防衛医科大学校看護学科を卒業する
防衛医科大学校看護学科には「自衛官コース」と「技官コース」があります。
いずれのコースも4年間のカリキュラムで保健師・看護師の国家資格取得を目指し、在学中は「特別職国家公務員（非常勤職員）」扱いとなり、毎月約11万円程度の手当が支給され、年２回の期末手当もあります。
防衛医科大学校看護学科は入学金や授業料等も不要ですが、その分倍率がとても高いです。
なんと、自衛官コースの令和3年度は募集人数75名に対し、合計1,676年の受験者がいて、倍率は12.8倍と狭き門であることは間違いなさそう。
また、入学には年齢制限があります。自衛官コースは18歳以上21歳未満、技官コースは18歳以上24歳未満なので、防衛医科大学校に入学したい場合は早めからの準備が必須です。
自衛官コース
自衛官コースは4年間の教育を受け、保健師・看護師の国家資格の取得を目指します。
資格取得後は、陸・海・空の各幹部候補生学校に入校し、幹部自衛官を目指し訓練や教育を受けます。
技官コース
自衛官コース同様、保健師・看護師の国家資格の取得を目指しますが、卒業後は防衛医科大学病院や国内基地など、看護師として配属されるため、訓練などはなく、他看護大学同様一般教養科目も履修します。
自衛官コースと違うのは、階級制度が無いため昇給制度が異なります。
どちらかといえば、卒業後の業務は一般の病院で働く看護師と近いと言えるでしょう。
方法2. 自衛隊に入隊してから准看護師を目指す
まずは自衛隊になってから准看護師の資格を目指す方法もあります。
応募資格の広い一般曹候補生として入隊し、准看護師課程の募集に応募して試験を受ける必要があります。
一般曹候補生の入学にも年齢制限があり、18歳以上33歳未満の者を対象に、陸上、海上、航空各自衛隊の部隊勤務を通じて、その基幹隊員となる陸・海・空曹自衛官を養成する制度です。
また、自衛隊内の准看護師課程にも年齢制限があるため注意が必要です。
方法3. 正看護師から自衛隊に応募する
すでに看護師免許を取得している場合、自衛隊看護師の中途採用に応募することができます。
応募の時期は不定期なので、防衛省のサイトをこまめに確認する必要がありそうです。
また、すでに看護師としての勤務経験があることが前提で、かつ保健師や助産師など他資格が必要な場合もあるので募集要項はしっかり確認するようにしましょう。
普通の看護師と何が違う？
雇用形態と組織構造
自衛隊看護師は、国家の安全保障を担う自衛隊に所属することになります。雇用形態は特別職国家公務員となり、正社員での雇用となります。
また、自衛官看護師と技官看護師の2種類があり、各々業務内容やキャリアパスが異なります。
業務内容
自衛官看護師の場合
自衛隊にいる人達の健康管理・看護業務
自衛隊隊員をはじめ、防衛省の職員やその他一般の方を対象に看護、健康管理を担当します。
看護業務中は看護服を着て対応しますが、自衛官看護師は自衛隊でもあるので訓練に出るときは自衛官の服で行います。
災害時は被災地に赴き救助活動
大規模な災害が起きた場合、自衛隊は現地に行き被災者への支援活動を行っています。
自衛官看護師に関しても同じく、負傷した人々への医療行為を行います。
場合によっては野外での対応が必要になるため、幅広い知識と経験を求められます。
技官看護師の場合
自衛隊に関連した勤務先で看護業務に従事
自衛官看護師と同様、自衛隊病院や国内基地、防衛医科大学校病院にて看護師として勤務することになります。
自衛官看護師との違いは、国内外への災害地に派遣されることはなく、自衛隊関係者や一般患者の健康管理や看護に携わることになります。
また、防衛医科大学校病院は高度先進医療を導入しているため、重篤な患者さんが多い傾向があり、高度な看護業務に携わることができます。
自衛隊看護師の利点
充実した福利厚生
自衛隊看護師は特別職国家公務員なので、公務員ならではの様々な手厚い福利厚生が整っています。
完全週休二日制のため、休みが安定している他、宿舎で暮らす場合は無料で借りることができ、かつ光熱費や食費に関しても支給してもらうことができ、衣食住が安定しています。
もし宿舎にすまない場合でも、営外居住手当が給与に反映されます。
生活費を気にせずにお給料を自由に使えるのはかなり嬉しいですよね。
自衛官看護師なら勤続年数や階級で昇給する
自衛官看護師の場合は「自衛官俸給表」、技官看護師は「医療職俸給表」を基準に給与額が決まります。
自衛官看護師の場合、防衛医科大学校看護学科を卒業して配属したときは「曹長」の階級を与えられ、階級に応じた給与が支払われます。
技官看護師には階級がありませんので、勤続年数によって昇給が期待されます。そう聞くと一般の看護師と変わらないように感じますが、公務員として各種保険に入ることが出来る点や、退職金が充実しているなどの利点があります。
自衛隊看護師の注意点
転勤が多い
自衛隊病院は全国にあるため、自分が所属している部隊が移動する場合、転勤を求められることがあります。
違う視点で言えば、日本各地を巡って様々な環境下で働くことが出来るので、色んな経験を積みたい人には向いていると言えるでしょう。
身体能力の基準が設けられている
自衛隊では、入隊できるかは身体検査の結果にも左右されます。
自衛官看護師も例外ではなく、身長や視力、体重や歯など検査項目は多岐にわたります。
また、災害やテロなどのいかなる状況にも対応できるよう、負傷者搬送や野外訓練が必要になってきます。
通常の看護業務の他にも訓練があるとなると、健康であり、かつ体力があることが求められます。
まとめ
看護師といえば、看護学校を卒業して病院で働くイメージが強いですが、自衛隊でも看護師は求められています。
ただ、防衛医科大学校を卒業する方法以外で自衛隊看護師を目指す場合、中途採用の枠は数名かつ募集の時期が決まっていないため、狭き門です。
その分、自衛隊看護師でしか体験できない業務内容や、厳しい勤務だからこその利点がたくさんあります。
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