【看護師のハラスメント実態調査】96%が職場でハラスメントが行われていると回答。「上司のパワハラでうつ病になり、労基に訴えたが、証拠不十分で自分が解雇されてしまった」という声も。

調査データ

株式会社SOKKIN(本社:東京都新宿区西新宿6丁目11−3 Dタワー西新宿 16F、代表取締役社長:本間 亮平)は、看護師向け転職エージェント比較サイトを運営し、看護師の転職支援を行っています。

調査サマリー

・96%の看護師が職場でハラスメントを経験。うち64%が「自分がハラスメントを受けた」と回答
・経験したハラスメントは「精神的攻撃」が最多
・ハラスメントの加害者は「上司」が最多
・8.5割以上が、ハラスメントに関して、職場で適切な措置は取られなかったと回答
・ハラスメントによって「怒りや不安を感じた」という回答が最多。また「精神科に通うようになった」という声も
・9割以上が職場でのハラスメント対策は「行っていない」または「不十分」と回答
・4割以上がハラスメントが原因で「退職」または「退職を検討」したことがあると回答

調査の背景

近年、看護師の職場におけるハラスメントが問題視されています。看護師は、患者やその家族、同僚、上司など多様な関係者と接する中で、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメントなど、さまざまなハラスメントを受けるリスクが高い職業です。ハラスメントが原因で、看護師が精神的なストレスを受けたり、身体的健康が損なわれたりすること、またそれに伴う離職率の増加なども懸念されています。では実際どれほどの看護師が職場でハラスメントを受けているのでしょうか。

2024年9月にインターネット調査で実施したアンケートの回答結果をもとに、看護師の「ハラスメント経験」「経験したハラスメントの内容」「ハラスメントの加害者」「職場でのハラスメント対策」「ハラスメントが原因の退職経験」などをお伝えします。

調査の詳細

「(看護師限定)看護師のハラスメントに関する簡単アンケート」
看護師の職場のハラスメント実態について調査する。

・調査日:2024年9月13日〜2024年9月18日
・調査方法:株式会社クラウドワークスのパネル利用によるインターネット調査
・対象者:現在看護師の方
・回収サンプル数:74票

 

調査結果

96%の看護師が職場でハラスメントを経験。うち64%が「自分がハラスメントを受けた」と回答

「Q1. ハラスメントを経験したことはありますか? 」という問いに対して、「自分がハラスメントを受けた」という方が64%、次いで「他の人がハラスメントを受けているのを見た」という方が32%という結果になりました。
96%の看護師が職場でハラスメントを経験しているという事がわかりました。

経験したハラスメントは「精神的攻撃」が最多

「Q2. 経験したハラスメントはどのような内容でしたか? 」という問いに対して「精神的攻撃」が50票と最も多く、次いで「セクシャルハラスメント」が16票という結果になりました。

「Q2-2. 上記で回答したハラスメントに関して、具体的なエピソードを教えてください。(自由記述)」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【精神的攻撃(以下一部抜粋)】
・患者の状態を報告しようとすると、あからさまに態度を変え目を合わせず、「はいはい、で?」と返答される。医師の処置に付いた際も、準備は?手順は確認したの?と高圧な態度で、ミスが出来ないと言うプレッシャーが凄く、手が震えてしまった。(30代女性)
・新人看護師が先輩看護師に指導されている際に椅子を蹴られていた。(20代女性)
・精神的攻撃も、身体的攻撃も患者からで、俺を先に診ろ、遅すぎる、など理不尽な要求で、叩かれたり、触られるなどは日常茶飯事だった。(40代女性)
・7年目看護師からの度を超えた指導により1年目看護師が過度な緊張をもち休職となった。(20代女性)
・マタハラを受けた。妊娠中に上司に「軽作業で一日中座って作業できていいわね」と言われ続けストレスで早産になった。(40代女性)
患者から、妊婦の時に妊婦が来るな!みてほしくない、役に立たない、など言われた。(30代女性)
・3ヶ月ほど上司に無視された。必要な指示も、わざわざ他科の職員を通して言ってきた。(40代女性)
・子どもの体調不良を理由にして休むことで 辞めたほうがいいと退職勧奨を何回も受けていた。(30代女性)

【セクシャルハラスメント(以下一部抜粋)】
・大学病院で働いていた際、入職して間もないときに上司の男性看護師とたまたま帰路が一緒になった際に過去の恋愛話をやたらと聞かれた。(20代女性)
・自分自身である程度体は拭ける中年の男性患者さんに、「(陰部を)中心的に拭け。」と高圧的に言われ、触るまで言い続けられた。泣いたが中々やめてもらえず他スタッフが気が付いて注意し、強制退院となった。(30代女性)
・結婚生活をしていない独り身なのだからもっと夜勤をしてくれと言われた。異性関係をネタに仕事を不当に増やされセクハラだと思った。(30代男性)

【過大な要求(以下一部抜粋)】
・妊娠していた時に、入院した。その際自分で洗濯ロッカーに白衣を取りに来いと言われたり、不妊治療でも休みをもらえなかった。産後、時短勤務になったが、所属した部署は時短勤務にとにかく厳しく、業務は全く一緒で帰れないのは自分のせい、申し送りなどもさせてもらえず、自分で完結しないと帰れないと言われた。(30代女性)
・訪問看護をしていたとき、オンコールは2歳の子どもがいるため出来ないと伝えた上で、就職したのに、子どもは家に1人で放置してオンコールの対応へ出向くか、一緒に行って、利用者自宅前(外玄関)で待たせて対応するか選択しろと言われた。(30代女性)

【身体的攻撃(以下一部抜粋)】
・認知症患者にいきなり噛みつかれた。(40代女性)
・ミスをした時、髪を引っ張られた事がある。(20代女性)
・上司から物品を持ってくるように依頼された後輩が、上司が望んでいたものとは違う物品を持ってきてしまい、上司は怒り、後輩を突き飛ばし壁に叩きつけていた。(30代男性)

【過小な要求(以下一部抜粋)】
・新人時代、仕事の情報収集不足があった際、先輩ナースに責任感のなさを問われ、仕事をさせてもらえなかった。話しかけると無視された。(30代女性)

ハラスメントの加害者は「上司」が最多

「Q3. 経験したハラスメントの加害者は誰でしたか? 」という問いに対して「上司」という回答が41票、次いで「先輩」が21票という結果になりました。また「患者」も12票と多く見られました。

8.5割以上が、ハラスメントに関して、職場で適切な措置は取られなかったと回答

「Q4. ハラスメントに関して、職場に報告して適切な措置を取りましたか?」という問いに対して、「報告をしなかった」という回答が55%で最多という結果になりました。次いで「報告したが、適切な措置は取られなかった」が31%で、全体として86%がハラスメントに関して適切な措置が取られなかったということがわかりました。

「Q4-2. ハラスメント報告後の職場の対応に関して、または報告をしなかった理由に関して詳細に教えてください。(自由記述)」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【報告して適切な措置が取られた(以下一部抜粋)】
・退職すると考えていたためしっかり報告した。(20代女性)
・他の先輩が実際に責められているところを、師長に見せてくださり、異動処置となった。(30代女性)
・被害者の同期の女の子は動揺して詳細な報告ができる状態ではなかったが、他スタッフからの聞き取りで状況を把握した師長より患者に注意があり、転院先をすぐに探して強制退院・転院となった。(30代女性)

【報告したが、措置は取られなかった(以下一部抜粋)】
・先輩の高圧的な態度について師長に報告したが、自分自身の反省点はなかったのか?改善点はないのか?と話され、先輩看護師には特に指導はなかった。師長も上席レベルのスタッフには、何も言えない雰囲気がある。(30代女性)
・妊娠中は師長からのハラスメントであったため言えなかった。産後は師長に言い、改善するよう訴えたが3年かかった。一緒に訴えた子は半分が耐えられずやめてしまった。(30代女性)
・報告しても何も変わらないという諦め(30代女性)
・報告をしたが、上司を庇い私が退職することとなった。(30代女性)
・労基に訴えたが、証拠不十分で自分が解雇されてしまった。(30代女性)

【報告をしなかった(以下一部抜粋)】
日常的にハラスメントがあり、報告がバレた場合に自分もハラスメントの対象になる恐れがあったため。(30代女性)
・その状況が当たり前での光景でその時は異常だと感じなかったから。(20代女性)
・ハラスメントをしてくるのは師長で、反論をすると勤務やその他のところでいじめが始まるので誰も何も言えない。耐えるか、辞めるかのどちらか。(30代女性)
・改善できないと考えていたため。奨学金を借りていた手前、お礼奉公が終われば退職する意向だったので病院に期待はしていなかった。(30代男性)

ハラスメントによって「怒りや不安を感じた」という回答が最多。また「精神科に通うようになった」という声も。

「Q5. ハラスメントを受けてあなたの心身になにか影響はありましたか?」という問いに対して、「怒りや不安を感じた」と回答した方が最も多く38票、次いで「仕事の意欲が減退した」という回答が37票という結果になりました。
また、「精神科に通うようになった」や「入院した」という回答もいくつか見られ、ハラスメントが日常生活に支障をきたしている方が一定数いるということがわかりました。

「Q5-2. ハラスメントによる心身への影響に関して詳しく教えてください。(自由記述)」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【怒りや不安を感じた(以下一部抜粋)】
・毎晩寝る前にどうして言い返さなかったのかと腹立たしい気持ちになった。嫌なことを嫌だと言えず、自分を守れなかったことを後悔した。(20代未回答)
大声を聞いただけで体が震えるようになった。(20代男性)
・食欲減退、ふとした時に涙が止まらなくなる、仕事に行きたくなくなった、人とコミュニケーションを取るのが怖くなった、プライベートが億劫になり家に引きこもることが増えた。(30代女性)

【仕事の意欲が減退した(以下一部抜粋)】
・仕事のモチベーションが下がる。看護師をやってる意味がわからなくなる。(30代女性)
・プレッシャーで業務に集中できず、ミスが増えた。(40代男性)
・出社することが困難になり休むことが増えた。睡眠時間も3時間程度しか寝れなくなった。(30代女性)
・怒りの感情でハラスメントした人を担当したくなくて、仕事にいきたくなくなった。(40代女性)

【コミュニケーションが減った(以下一部抜粋)】
・業務上の報告でも話しかけにくくなってしまった。(30代男性)
・暫くは他のスタッフとも距離を置き、当事者に対しては口を聞かなかった。居心地が悪かった。(30代女性)
病棟に行くのが怖くなった。休んだりはしていないが、お昼は休憩室に行っても先輩たちと一緒になるのが苦痛で1人ロッカーで食べていた。仕事中は、仕事の事以外は一切プライベート的な話はしていない。(30代女性)

【精神科に通うようになった(以下一部抜粋)】
適応障害になり、引きこもる生活になった。(30代女性)
うつ病になり、オーバードーズもして、非常に苦しかったし、家族にも迷惑をかけてしまった。(30代女性)

【入院した(以下一部抜粋)】
・妊娠中のハラスメントが原因で早産で出産してしまった。(40代女性)

9割以上が職場でのハラスメント対策は「行っていない」または「不十分」と回答

「Q6. 職場でハラスメント予防に関する取り組みを行っていますか?」という問いに対して、「行っているが不十分」が最多の57%、次いで「行っていない」という回答が34%という結果になりました。
全体の91%の方が職場でのハラスメント対策が不十分と考えているということがわかりました。

4割以上がハラスメントが原因で「退職」または「退職を検討」したことがあると回答

「Q7. ハラスメントが原因で退職したことがありますか?」という問いに対して、「そのような人を見た事がある」という回答が38%で最多という結果になりました。次いで「退職を検討している」という回答が24%でした。
回答した看護師の42%がハラスメントが原因で「退職」または「退職を検討」していたということがわかりました。

今回の調査を通じて

今回の調査で、回答した看護師の96%が職場でハラスメントを経験または目の当たりにしており、内容としては「精神的攻撃」が最多ということがわかりました。またハラスメントに対して8.5割以上が職場で適切な措置は取られなかったと回答しており、9割以上が職場のハラスメント対策は不十分と考えているということが明らかになりました。
株式会社SOKKINは、今後も看護師の皆さんがより良い職場環境で働けることを願いながら、現場の声にしっかりと耳を傾け、更なるサービス向上に努めてまいります。

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会社概要

会社名:株式会社SOKKIN
設立日:2021年4月7日
代表者名:本間 亮平
所在地:東京都新宿区西新宿6-11-3 D タワー西新宿 16階
会社HP:https://sokkin.me

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この記事の監修者元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助
元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助 株式会社SOKKIN 人材副事業責任者

2014年にサイバーエージェントに入社。金融業界を中心に幅広い業界のクリエイティブディレクションに従事。その後、2023年より株式会社SOKKIN でクリエイティブ責任者として従事

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