無事看護学校を卒業し、資格も取得できていざ看護師として働き始めることになったものの、実際に働き出すと学校で学んだ内容と現場で求められるスキルや知識に乖離がありストレスを感じる新人看護師は多いと思います。
こういった、新人ゆえの知識や力不足などの悩みを解消するために、先輩看護師が指導者として一定期間、新人看護師を教育してくれます。
新人看護師は先輩のフォローを受けながら実務経験を詰めますし、先輩看護師も人に教えることで自身の理解が足りていない部分を認識したり、知識を深めることができる優れた制度ではありますが、現実にはこの制度にはいろいろな課題があると言われています。
今回は、プリセプター制度とはなんなのか、制度のメリットやデメリットなども紹介していきます。
プリセプター制度とは?
先輩看護師が新人看護師に一対一で教育する制度
もちろん新人の教育は一人で行うものではなく、チーム全体で行うものですが、指導者を決めておくことで、新人看護師は困ったことがあったときに「まず誰に相談すればいいのか」が明確になります。
先輩看護師:プリセプターの役割
通常、プリセプターには3年以上経験を積んだ看護師が任命され、約1年ほど新人看護師の教育を担当します。
具体的には、厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」に沿って、担当している新人看護師に看護師として働く上で必要な知識や技術が身についてきているか確認しながら指導をします。
例えば、プリセプターが受け持つ患者さんの対応を実際に新人看護師に見せてお手本にしてもらったり、わからないことがあれば質問してもらったり、全体像の仕事の流れを理解してもらうために今対応している仕事がどの位置づけなのかを把握してもらうために説明をします。
プリセプター制度の目標とは?
新人看護師:プリセプティの離職率を下げたい
「リアリティショック」という言葉をご存知でしょうか。
これは、実際の状況が思い描いていたものと違ったときに感じるギャップのことで、入職後3カ月以内にやめてしまう看護師の主な要因になっています。
特に看護や介護職で起こりやすいギャップなので、仕事がつらくても心の支えとなれるようなプリセプターの存在が必要とされています。
プリセプター制度のメリット・デメリット
プリセプター側
メリット
誰でも3年勤務経験があればプリセプターになれるということもではなく、実力やコミュニケーション能力を認められてプリセプターに任命されます。
プリセプターに任命されるということは、仕事の実力や指導力が認められたということでもあり、一人前になれた自信にも繋がります。
また、業務を教えている中で自身の中の不明瞭だった部分が明確になり、自身の業務への理解度の向上にも繋がります。
デメリット
自分の業務に加えて新人教育を行うことが多く、プリセプターに余裕がなくなってしまうことがままあります。
また、プリセプターは新人と自身の先輩の間で板挟みになってしまうこともあります。
例えば、一生懸命新人に教えても覚えてもらえず、先輩からはなぜ教えてないのか、教え方が悪いと起こられてしまったり…。
新人看護師の離職率を下げるための制度とはいえ、先輩看護師がいっぱいいっぱいになってしまい離職に繋がってしまうと本末転倒ですよね。
この問題は、プリセプター一人に新人看護師の教育責任を押し付けてしまっている状態ですので、教育
プリセプティ側
メリット
なんといっても困ったときに相談できる相手がいることでしょう。
また、プリセプター自身も担当した新人看護師に成長してほしいと思っているため、通常であれば積極的にアドバイスや仕事の仕方を教えてくれます。
まだ新人とはいえ、患者さんからすれば新人もベテランも関係ありません。薬など、使用方法を間違えれば人を死に至らせることもある機器がたくさんある中で、人命に関わる判断を聞ける人がいるのはとても心強いですよね。
デメリット
プリセプティがプリセプターを選ぶことはなく、教育担当者や主任、師長が組み合わせを決めることになります。
自身の性格や特性に会うプリセプターと組むことになるのと、全然合わない人と組むのでは、仕事のしやすさに雲泥の差ができてしまうでしょう。
また、この制度はどうしてもプリセプターに負担がかかってしまうため、不満がたまり悪意のある言い方をされてしまったり、時には目の前で悪口を言われてしまうこともあるでしょう…。
ほかにも威圧的な態度を取られて相談しづらかったり、きつい言い方をされてしまい精神的につらいことがあると思います。
まとめ
誰にだって新人のときはあるもの。看護師として1人前になるには、十分な時間と勉強、経験が必要不可欠です。
実際に対応するのは「人」なので、どうしても相性や個々の特性などの違いはありますが、プリセプター制度の期間は約1年にわたりますので、お互いに無理のない関わり方を模索しながらいい関係を築いていけるように心がけましょう。
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