外国人の看護師はどれくらいいるの?|海外看護師の実情を解説

日本の病棟で働く外国人看護師 調査データ
ふと気がつくと、最寄りのコンビニに海外出身の従業員がいることも増えてきて、海外から日本へ働きに来ている人を見かけることも多くなりましたね。

実は、医療・介護の職種でも海外からの労働者が増えてきているんです。

今回は、日本にいる海外看護師について、いつから受け入れが始まったのか、また最近の海外看護師の需要に関して解説していきます。

海外看護師の受け入れは最近の話

日本で外国人を雇用する動きが始まったのは、2008年頃と最近の話です。

経済連携協定(EPA)によって外国人看護師候補者の受け入れが始まり、インドネシアからの看護師を受け入れたのが最初だと言われています。

今ではインドネシアの他に、フィリピンやベトナムからEPAの制度に基づき日本で看護師として働いています。

EPA看護師って?

EPAとは、二国間で締結される協定であり、関税などの貿易障壁を撤廃することで、物だけではなく人やサービスなど幅広く経済の結びつきを強めることが期待されます。

EPA制度による外国人労働者に関しては、下記3カ国が締結している状態です。

  • インドネシア
  • フィリピン
  • ベトナム

上記の国からは、看護師・介護福祉士の候補者を受け入れることができます。

海外の看護師が日本で働くには日本の国家資格が必要

海外の看護師の資格は日本において互換性がないため、日本で看護師として働くためには看護国家資格が必要です。

既に母国で看護師として働いていた人たちが候補生となるので、日本では半年程度日本語の勉強をして、資格取得を目指してもらう流れとなります。

もともと看護師でも、日本に来てすぐ看護師として働けるわけではないということですね。

なぜ海外から日本へ来て看護師に?

海外の看護師が日本で看護師として働こうとすると、言語の壁や、ビザの問題など色々ありますよね。

その上で、日本で看護師になることを目指してくる海外の人たちは、どういった理由で日本に渡航しているのでしょうか。

母国と比べてお給料が高い

例えばフィリピンだと、看護師の平均月収は約30,000〜50,000ペソ(約60,000〜100,000円)程度と言われています。ただし、勤務地によってお給料の差が激しく、場所によっては約10,000〜12,000ペソ(20,000~25,000円)くらいになることも。

日本だと、新卒看護師であっても平均月収が21万円程度だと言われているので、フィリピンの看護師の月収が低いところと比べると約10倍も異なることになります。

先進国の技術を学ぶことが出来る

日本の医療は先進国の中でも高い水準を誇っていると言われています。国際的に有名な医学雑誌でも、世界195カ国の中で日本が11位に選ばれるなど、世界的にも高い評価を得ていると言えます。

日本で看護師として働くことで、最新の技術を学ぶことができ、今後のキャリアプランにも役立つことから、EPA看護師候補生を目指す人も少なくなようです。

資格に受かれば在留期間は無制限!

看護師候補者の場合は3年間、介護福祉士候補者は4年間の在留期間中にそれぞれ必要な国家資格を取得する必要があります。

国家資格に無事合格し、晴れて看護師として働く場合、在留期間を無制限に更新することができます。

日本の文化に興味があり、永住したいと思っている人にとってはとても魅力的な条件になりますね。

日本での海外看護師の需要は?

高齢化社会のため、看護・介護共に需要は高い

高齢化社会とは、人口を占める65歳以上の高齢者の割合が7%を超えた状態をいいます。

2023年4月の統計によると、高齢化率は過去最高の29.0%を記録しており、今後も高齢化は進行することが予測されています。

高齢化が進む際の課題として、看護・介護の問題が話題になるかと思いますが、解決する一つの方法として海外からの労働者を受け入れることが挙げられます。

そういった背景もあり、今後も海外からの看護師、介護士は増えると予想できます。

実際に外国人看護師の数は年々増えている

厚生労働省調べより、EPA制度による外国人看護師の受け入れが積極化した2008年からの推移を掲載します。

  • 2008年:約3,100人
  • 2009年:約3,900人
  • 2010年:約4,800人
  • 2011年:約6,000人
  • 2012年:約8,100人
  • 2013年:約11,300人
  • 2014年:約14,200人
  • 2015年:約17,200人
  • 2016年:約20,700人
  • 2017年:約24,000人
  • 2018年:約28,000人
  • 2019年:約35,000人
  • 2020年:約44,000人
    (COVID-19の影響により、年度途中での集計)

2008年からこの15年間の間で、なんと外国人看護師の数は約14倍になっています。

EPA制度というものは、「看護師が足りない」という理由で外国人看護師を受け入れいるわけではないですが、日本の医療制度や待遇を魅力的だと感じて母国を離れて日本で看護師を目指している人が多くいるというのは嬉しいことですね。

外国人看護師の国別割合

圧倒的にフィリピン出身の看護師が多い

2021年4月時点で、日本にいる外国人看護師の国別割合は以下の通りです(厚生労働省調べ):

  • フィリピン: 約53%
  • ブラジル: 約12%
  • ベトナム: 約9%
  • ネパール: 約5%
  • インドネシア: 約4%
  • スリランカ: 約3%
  • 中国: 約2%
  • 韓国: 約2%
  • その他: 約10%
EPA制度のこともあるかと思いますが、フィリピン出身の外国人看護師が全体の割合の半分を占めていますね。

まとめ

日本の外国人労働者は、看護・介護に関わらず増えてきています。病院に患者さんとして外国人が来ることもそれに伴い増えてくるかもしれません。

そうなった時、英語が話せる外国人看護師がいるというのは、これから日本に来ようと考えている外国人にとってはありがたいですね。

また、EPA看護師(候補生)を受け入れている病院は、柔軟な受け入れ体制が整っているという見方も出来るので、日本人看護師にとっても魅力的な職場といえるかもしれません。

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この記事の監修者元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助
元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助 株式会社SOKKIN 人材副事業責任者

2014年にサイバーエージェントに入社。金融業界を中心に幅広い業界のクリエイティブディレクションに従事。その後、2023年より株式会社SOKKIN でクリエイティブ責任者として従事

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