これから看護師になることを目指している看護学生の皆さんは、看護師がどのような1日を送っているかご存知でしょうか。看護師の仕事は、患者さんのケアのみならずナースステーションの掃除や食事の準備など多岐にわたります。今回の記事では、看護師の1日のスケジュールを「日勤の場合」と「夜勤の場合」に分けてご紹介します。
それでは、実際に看護師はどのような1日を送っているのか、みていきましょう。
二交替制の「日勤」と「夜勤」の違いについては、以下の記事で詳しく説明してるのでよろしければご一読ください。
【関連】看護師夜勤の勤務時間・1週間スケジュールは?2交代制・3交代制とは?
看護師のスケジュール
日勤の場合
ここでは、一般的な病棟看護師の日勤業務についてご紹介します。
2交代制をとっている病院の数は、3交代制をとっている病院の数よりも多いため、ここでは2交替制における日勤業務についてご紹介します。
2交替制における日勤の勤務時間は、 8:30〜17:30(休憩60分)の計8時間です。
【参考】:2022年度「夜勤実態調査結果」医療労働
8:20:出社
8:30の業務開始より少し早めに出社して、更衣室でユニフォームに着替えます。
8:30:申し送り
申し送りとは、夜勤の看護師から、患者さんの容態などを伝えてもらう業務のことを指します。いわゆる、「伝言」のようなものと言えるでしょう。夜勤チームから正確な情報を共有してもらうことが患者さんの適切なケアのために重要です。
申し送りの前には、朝礼などを行う場合もあります。
8:45:1日の看護計画を共有
申し送りが終わったら、患者さんの1日の看護計画作成し、リーダー看護師に報告して、計画に対する助言をもらいます。
9:00:巡回・挨拶・介助
- 朝食介助
- 薬の配布、内服介助
- 点滴準備
- 検査手術予定患者の送り出し
- 口腔ケアの援助
- 環境整備
受け持ち患者さんを巡回し挨拶をした後は、上記のような看護を行います。
点滴の準備は通常、看護師2人で行い、点滴内容や点滴を投与する患者名、日時に誤りがないかダブルチェックを行います。朝一に手術が予定されている患者さんがいる場合もあるため、その場合は、優先的にその患者さんの点滴の準備を行います。
環境整備とは、患者さんが病棟で安全に過ごせるように病室や廊下の掃除などを行います。廊下が滑りやすくなっていて、患者さんが怪我してしまっては大変です。
9:30 バイタルチェック
バイタルチェックとは、バイタルサインを測定し、正常かどうかチェックすることを指します。バイタルサインとは、「脈拍」「呼吸」「体温」「血圧」「意識レベル」の5つが代表的です。
また、これらのバイタルチェックに加えて
- トイレ介助
- ガーゼ・チューブなどの交換
- 入浴介助
- 体位変換
- 入院・転入患者の受け入れ作業
などの業務を適宜行います。
さらに、業務が開始した後は、いついかなる時もナースコールに迅速に対応する必要があります。
11:00 カンファレンス
カンファレンスとは、今後行う治療や処置の内容などの看護計画について情報共有をすることを目的とした会議のことです。「カンファ」と呼ばれることもあります。
カンファレンスは、看護師だけでなく、医療現場で活躍する医師や作業療法士、時には患者さんやその家族も加わって行われることがあります。
11:30 昼食の配膳
患者さんのお昼ご飯を配膳します。
12:00 昼休憩
2交替制における、看護師の休憩時間は合計で1時間あります。1度に全ての看護師が休憩に入るのではなく、交代で休憩を取ります。一般的に看護師の昼休憩時間は、10:00〜13:00などのように幅を持って設定されていることが多く、その間に複数回に分けて休憩時間がとられます。
お昼ご飯は、お弁当を持参する人や、病院のレストランを利用する人、コンビニで弁当を買う人など様々です。午後に向けて体力をつけておきます。
12:30:午後の業務開始
昼休憩が終わった後は、主に以下のような業務を行います。
- 昼食の介助
- 内服介助
- 口腔ケアの援助
- 点滴交換
昼食時間になると、自分で食事が取りにくい患者さんの食事介助や内服薬の投与を手伝います。昼食の介助を行う看護師は、他の看護師と相談した上で、早めに休憩に入るなどして、昼食の介助時間を確保しています。
13:00 バイタルチェック・ケア
重症な患者さんや、1日に複数回の検温が必要なとされている患者さんは、午後にも検温などのバイタルチェックを行います。
そのほかにも、午前中のケアの続きや、電子カルテの入力などの業務を行います。電子カルテには患者の状況や処置内容、引き継ぎをする看護ケアの内容などを記録します。
15:00:患者さんに翌日のスケジュール説明
翌日に検査がある患者さんにはその検査の説明を行います。
16:00:リーダー看護師へ報告・記録の整理
午後の業務内容、患者の状態などをリーダー看護師へ報告します。リーダー看護師は、各看護師からの報告を受けて、患者の状態や業務状況を師長に対して報告します。
また、日勤の看護師は夜勤の看護師が情報収集しやすいように記録の整理をしておきます。
16:30:申し送り
日勤の患者の状態や変更指示などを夜勤スタッフへ申し送りをします。医師からの指示などがある際は、その情報についても申し送ります。
17:30:終業
業務時間終了後、救急カートセット(急変した患者に使用)が足りているかのチェック、転院・退院の手続き、看護計画の作成など、細かな業務が残っていれば残業します。
月に1度、業務終了後に約1時間の勉強会(病棟会)が開かれることもあります。新しい薬の情報共有や疾患の勉強をしたり、病棟で必要な話し合いを行います。
休日でも、勉強会には出席する必要があります。
夜勤の場合
ここでは、一般的な医療施設における病棟看護師の日勤業務についてご紹介します。2交替制における夜勤の勤務時間は一般的には、 16:00〜10:00(休憩120分)の計16時間です。
15:30:出社
勤務時間よりも少し早めに出社してユニフォームに着替えます。
16:00:申し送り
日勤の看護師とともに、患者さんに勤務交代の挨拶をしたのち、日勤の状況を報告してもらいます。患者さんに挨拶をする際には、点滴の残量や処置した箇所を日勤の看護師と一緒にチェックします。
17:00:夕食の介助
夕食の時間になったら、患者さんの夕食の配膳・夕食の介助・食べ終わった後の口腔ケアなどを行います。
看護師の夕食の時間は19:00〜21:00に設けられていますが、時間がなくゆっくりと食事を取れないケースも多々あります。
20:00:トイレ介助
消灯前は、バイタル測定、環境整備、配薬、トイレ介助など消灯前の準備を行います。必要に応じて、酢眠剤を投与する場合もあります。
21:00:消灯
消灯後は、ナースコール対応、夜中のトイレ介助、電子カルテの記入、ナースステーションの掃除、申し送り事項の確認などの業務を行います。
また、夜中は2時間ごとに病室を巡回し、点滴交換、患者さんの体位変換、おむつ交換などを行います。空いている部屋も巡回することで、全ての部屋に異常がないか、不審者がいないかを確認します。
この際、看護師は交代しながら各自2時間程度の仮眠をとります。
慣れない新人のうちは、『深夜の巡回は怖い』という声をよく聞きます。
6:00:患者さん起床
患者さんが起床したら、採血やバイタルチェック、朝食の準備、ナールコール対応などを行います。
基本的に、採血は朝食を摂る前に行います。
8:00:夜勤リーダーに状況報告
夜勤リーダーが日勤の看護師に申し送りをスムーズにできるように、各看護師が夜勤リーダーに状況報告を行います。
9:00:申し送り
各部屋の患者に勤務交代の挨拶をした後に、各患者の状況や、医師からの伝言などを日勤の看護師に伝えます。
10:00:終業
申し送りが終了した後は、細かい業務を済ませ、終業となります。夜勤中に、インシデント(事故)が起きた際は報告書を書く必要があり、残業になるケースもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、看護師さんの日勤と夜勤の2通りの1日の勤務スケジュールについてご紹介しました。今回ご紹介した1日のスケジュールはあくまで一例ですので、病院ごとに1日のスケジュールが異なることも頭に入れておきましょう。
病院で働き始める前に、病院見学会などに参加することでその職場における看護師の1日を想像しやすくなるかもしれません。自分が理想とする働き方ができる病院を見つけましょう!
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