チーム医療の中で看護職はどのような役割にあるのでしょうか?
他職種との関係性に触れながら、チーム医療における看護師について詳しく解説していきます!
チーム医療とは
チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」とされています。
質が高く、安心・安全な医療を求める患者・家族の声が高まる一方で、医療の高度化・
複雑化に伴う業務の増大による医療現場の疲弊は無視できない問題となっています。
そんな現在の医療の在り方を変え得るキーワードとして今注目されているのが「チーム医療」です。
- 疾病の早期発見・回復促進・重症化予防など医療・生活の質の向上
- 医療の効率性の向上による医療従事者の負担の軽減
- 医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上
など様々な効果が期待できます。
医師の指示・判断が絶対ではない
医師には診療の義務があり、看護師には診療の補助が求められています。
チーム医療という概念に限った話ではありませんが、看護師と医師は密接にかかわっていて、看護師の業務はたいてい医師の指示のもとに行われるため、医師の指示が絶対であり、看護師は医師に黙って従うものという勘違いをしているケースがありますが、そうではありません。
医師が医学を勉強してきたように、看護師も看護学や医学の基礎知識を学び、国家資格として免許を取得している「専門家」です。
看護師には、医師の診療行為の内容の是非を唱えることができ、また看護師自身も自分の行動を判断する責任があります。医師からの指示を鵜呑みにするのではなく、「その指示は医療行為の理論的・倫理的根拠が伴っているか」「患者にとって最善の医療と言えるか」という判断を看護師がしなければいけないのです。
医師の指示が間違っていてミスが生じたとき、「間違っているとわかっていたけど医者の言うことだから黙ってやりました」は通用しません。
医師と看護師は対等な関係
医師からの「指示」とは言うものの、医師と看護師の間に上下関係があるわけではなく、同じ医療従事者として対等の存在であり、ただ役割が違うというだけに過ぎません。
医師には医師の、看護師には看護師の役割と責務があり、お互いがそれぞれの分野を果たすためには医師との連携・協働が不可欠です。
看護師は「チーム医療のキーパーソン」
患者さんと接する機会が最も多い
看護師はどの職種よりも患者さんと接する機会が多く、とても身近な存在として患者さん一人ひとりと向き合いながら症状を観察することができます。
そして、その患者さんの特徴や状態をよく理解している看護師の視点からの意見は、さまざまな業務の上で貴重なものになります。
患者さんの背景を理解し患者さんの身体的苦痛、精神的苦痛、社会的(経済的)、心理的な問題をとらえ、医療チームに伝えることでスムーズに業務を進めることができるのです。
幅広い業務により多職種と関わる機会が多い
また、看護師は、あらゆる医療現場において診察・治療等に関連する業務から患者の療養生活の支援に至るまで非常に幅広い業務を担うため、多職種の人と関わる機会があります。患者さんの一番の理解者と言っても過言ではない看護師は、多職種と関わる中で患者さんと医療チームとの仲介役のようなポジションを担うことができます。
患者さんを理解し、あくまで患者さん中心で医療を提供するという前提のもと多職種での連携の中心となっている看護師は、「チーム医療のキーパーソン」として大きく期待されているのです。
医療チームと看護師のかかわり
医師を中心として複数の医療スタッフが連携し患者の治療に当たる医療チーム。
その中での看護師のかかわり方や役割は、各チームごとに変わってきます。今回は代表的ないくつかのチームにおける看護師の役割を解説していきます。
栄養サポートチーム
(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士 等)
栄養状態の悪化や食欲の低下栄養など、通常の食事が十分にとれない患者さんに対して、適切な栄養管理を行うことで状態の改善や合併症の予防を目指します。
看護師の役割としては、経管栄養を必要とする患者さんに対して輸液の管理を行ったり、食事摂取が難しい場合には摂食状況を確認したり、嚥下能力を評価し、口内ケアを提供したりします。また、患者の栄養状態や個々の好みに合わせて、適切な栄養補助食品を選択し、栄養摂取をサポートする役割も担っています。
緩和ケアチーム
(医師、薬剤師、看護師、理学療法士、MSW 等)
緩和ケアとは、がんなど生命を脅かす病気に関連する問題に直面している患者さんやその家族に対して、身体的苦痛・精神的苦痛を和らげ、QOLの改善・向上を目指すケアのことです。
このチーム内で、看護師は、患者の価値観や意向を尊重しながら、家族を巻き込んで必要なケア内容を検討する役割を果たしています。
治療目標は主に病気の回復ではなく、患者さんが終末期を自分らしく過ごせるようにすることです。心理的・社会的なサポートを提供することで、患者さんが穏やかな状態を維持できるよう支援します。同時に、患者さんが亡くなった後の家族に向けても、精神的なサポートを提供する役割も看護師には求められています。
呼吸サポートチーム
(医師、薬剤師、看護師、理学療法士、臨床工学技士 等)
呼吸器疾患の患者さんや、手術や全身麻酔などにより呼吸に影響が懸念される患者さんに対してケアを行います。
看護師の主な役割は、24時間体制で患者の呼吸機能や全身の状態を観察・評価することです。痰を排出したり、誤嚥性肺炎などを防ぐための口腔内ケアも行います。
褥瘡(床ずれ)対策チーム
(医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、理学療法士 等)
寝たきりなどで、長時間同じ体勢が続き皮膚が圧迫され続けると、その部分の血流が悪くなることによって、皮膚が赤くなる→皮膚がむけてしまう→傷が深くなるといったように進んでいき、壊死してしまいます。
このチームの看護師は、寝たきりや車いすの患者さんに対し、褥瘡の予防、早期発見、および患部の適切なケアを担当します。
24時間体制で、患者の全身状態を観察し、オムツや寝具の交換、肌の保湿などのケアを提供します。特に寝たきりの患者には、褥瘡予防のために体位変換のアドバイスや寝具の調整を行うことが求められます。
まとめ
医師に従っているイメージがある看護師ですが、実際には看護師自身にも責任的判断が求められていて、多くの職種が対等な医療チームのメンバーとして協力し合っています。なかでも、患者さんに常に寄り添いながら多職種間の仲介役として活躍する看護師は、チーム医療の中心的存在として活躍しているようです。
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