国際看護師とは?海外で働く方法や給料、メリットなどについて詳しく解説します

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近年、日本で看護師として働いている方の中で、海外で看護師として働きたいという人が増えてきています。日本と海外の看護師では働き方や仕事内容に大きく違いがあります。今とは違った働き方がしたいという看護師の方にとっても、海外で働くというのは一つの選択肢として挙げられます。

国際看護師とは?

国際看護師という資格自体は存在していません。国際社会で広く活躍する看護師のことを総称して国際看護師と呼んでいます。実際にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパなど様々な国の病院で日本人の看護師が活躍しています。海外の病院で看護師として働く際には、日本の看護師免許だけでは働くことはできず、その他の資格または国によっては大学に通う必要があります。

海外の病院で看護師として働く方法

日本で看護師として働いていた人が、海外の病院で看護師として働く方法は国によって異なります。それぞれの国の資格の取得方法や必要な英語力、給料水準について詳しく解説します。

アメリカ

日本の看護師免許を持っていて、アメリカで看護師として働くにはまず、CGFNS(Commission on Graduates of Foreign Nursing School)というアメリカの看護学校の教育に相当しているかというのを見極める試験に合格する必要があります。その後、正看護師試験であるNCLEX-RNに合格することでアメリカで看護師として働くことができます。また、試験の内容などは州によって異なります。これらの試験に合格するために必要な英語力の目安はTOEFLで540点以上、TOEICで725点以上です。

アメリカの看護師の平均給与は日本円で約1239万円です。アメリカにおいては州によって給与の差が大きく、最も高いのはカリフォルニア州で看護師の平均給与は約1857万円です。また、アメリカでは看護師資格が細分化されており、資格の種類によっても平均給与が異なります。最も高いのはCertified Registered Nurse Anesthetists(認定看護師麻酔科医)で、平均給与は3000万円を超えています。このように日本と比べてアメリカの看護師の平均給与は非常に高い水準にあります。

※2023年10月13日時点のレートで換算

出典:Registered Nurse Salary in US by State in 2023 | Incredible Health

カナダ

日本の看護師免許を持っている方がカナダの看護師資格を取得する方法は州によって大きく異なります。看護師免許取得までの大体の流れを説明します。まずNNAS(National Nursing Assessment Service)に申請を出し、許可をもらいます。この際に英語力の審査もあり、IELTS7.0程度、TOEICだと870~970点ほどの英語力が求められます。次に働きたい州に看護師登録の申請を出し、州の試験を受けます。この際に、州によってはフランス語の能力証明が必要になる場合や、大学卒業を必須条件としている州もあるのでしっかり確認する必要があります。そして看護師国家試験であるNCLEX-RNに合格することでカナダで看護師として働く資格を得ることができます。

カナダの看護師の平均給与は日本円で約877万円です。経験値によって平均給与は異なってきます。ビギナーレベルでの平均給与は約638万円となっています。ビギナーレベルでも日本の平均給与より高い水準にあることがわかります。

※2023年10月13日時点のレートで換算

出典:Registered Nurse Salary in Canada 2022 【Actual Salary】 – CareerExplorer (careerexplorerguide.com)

イギリス

イギリスでは看護師の国家資格は存在していません。そのためNMC(The Nursing and Midwifery Council)という看護・助産審議会に登録することで働く資格を得ることができます。ここでは看護専門学校または大学の卒業が必須条件となります。加えて英語試験のスコアが必要となり、IELTSまたはOETが対象です。IELTSの場合、overall7.0またはWriting6.5でその他7.0以上のスコアが必要になります。またイギリスの場合、NMCの登録を行ったのちにも、3年ごとの更新が求められます。

イギリスの看護師の平均給与は日本円で約490万円です。イギリスでは看護師の階級がBandという位で決められていて、その階級によって給与は大きく異なります。最も低いBand1の平均給与は約409万円、最も高いBand9の5+の平均給与は約2102万円と大きく差があることがわかります。アメリカやカナダと比較すると平均給与が低いようにも感じますが、これはイギリスではボーナスがないというのが理由にあります。ですがイギリスでは祝日や夜勤の手当てが多めに支給されます。

※2023年10月13日時点のレートで換算

出典:Nursing Salary, Pay Scale and Bands 2023 – Nurses.co.uk

オーストラリア

日本で看護師免許を取得していた方がオーストラリアで看護師として働くにはまず、国が行っている現地の看護師協会に登録しなければなりません。登録には看護学の学士号の取得が必要になり、もし日本の看護免許を取得していても専門学校や短大のみの卒業の場合は、現地で学士号を取得しなければなりません。また英語能力の証明としてはIELTSで全セクション7.0以上の上、Overall7.0以上が必要になります。

オーストラリアの看護師の平均給与は日本円で約1065万円です。オーストラリアの国立病院では、看護師は経験年数によって給与が上がる、いわゆる年功序列の制度を採用しているので長く働くほど高給を期待できます。

※2023年10月13日時点のレートで換算

出典:Registered Nurse Salary Australia – SalaryExpert

その他の国

その他の国でも外国人の看護師を受け入れている国は多くあります。

例えば、韓国でも外国人看護師の受け入れを行っています。日本で看護師免許を取得している場合は、国にいくつかの書類を提出して、毎年1月に行われる国家試験に合格することで資格を得ることができます。

他にもシンガポール、フランス、ニュージーランドなど日本人看護師が働くことのできる国はたくさんあります。また、多くの国で日本よりも高給を得ることができるので興味がある人はぜひいろいろな国を選択肢に入れてみてください。

海外で医療ボランティアとして働く方法 

海外で看護師として働くには、医療ボランティアに参加するという方法もあります。日本には医療従事者の派遣を行っているボランティア団体が多く存在しています。そのうちのいくつかを紹介していきます。

ジャパンハート

ジャパンハートは認定NPO法人で、「医療の届かないところに医療を届ける」を理念に、国内外でボランティア活動を行っています。活動拠点は主にカンボジア、ミャンマー、ラオスでその他に大規模災害の被害を受けた地域にも医療スタッフを派遣しています。

実際の活動実績としては、カンボジアやラオスなどで小児がん手術などの治療を行ったり、児童養育施設などの運営も行っています。また国内の活動としては新型コロナウイルスが蔓延していた際に、クラスター現場へ医療チームを派遣するなどの活動を行っています。

ジャパンハートで看護師が行う活動は、短期ボランティアと国際看護長期研修の2種類あります。

短期ボランティア

短期ボランティアでは派遣先によって異なりますが、主に診察介助、創傷処置、入院受け、手術受け/出しなどが主な活動内容となります。

短期ボランティアにおいては、基本的に英語力は問われず、資格や経験などが必要ない看護学生向けのものなどもあります。

国際看護長期研修

国際看護長期研修では、最初の6カ月は長崎県の離島に派遣され、その後途上国で活動することとなります。

参加条件としては、看護師免許の取得、3年以上の臨床経験、ジャパンハートの医療従事者会員登録が必要となります。また基本的に英語でコミュニケーションがとれる必要があります。

参照:海外医療・国際協力ボランティア|NPO ジャパンハート医師・看護師サイト

JICAボランティア

JICAボランティア事業は独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業で日本政府のODA予算により行われています。発展途上国からの要請により、人材の派遣しています。

JICAのボランティアでの看護師の具体的な活動内容としては医療事故や院内感染予防の啓発、地域の保健センターでの啓発活動、ほか看護学校での学生への指導などもあります。

看護師としてJICAのボランティアに参加するには、看護師の国家資格が必要です。さらに、実務経験が最低3年以上、分野によってはより専門的な知識が必要になるため5年以上あるとより望ましいとされています。また参加するには書類審査と面接の2段階の選考に通過する必要があります。必要な英語力は中学卒業程度(英検3級、TOEIC330点程度)とされています。

参照:JICAボランティア事業の概要 | JICA海外協力隊

国境なき医師団

国境なき医師団(Médecins Sans Frontières=MSF)はフランスで設立した民間の非営利団体で、紛争や自然災害、貧困などにより危機に直面する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けています。過去にノーベル賞も受賞したことがある、とても知名度が高い団体です。

活動の拠点は主にイエメン、ケニア、ナイジェリアなどのアフリカの地域です。また、MSFはボランティア団体ですが給料が支給されます。

MSFで看護師として活動するには以下の条件を満たす必要があります。

  • 5年以上の臨床経験
  • 1年以上の感染管理の経験
  • 英語またはフランス語で他のスタッフとコミュニケーションがとれること
  • マネジメント・監督・教育の経験

参加までの流れとしては、書類選考とオンラインの語学テストを受験した後、二次選考の面接をフランス語または英語で行い、通過後、研修を受けて派遣先が決定します。

参照:国境なき医師団 (msf.or.jp)

世界の医療団

世界の医療団は、世界の中で必要な医療が行き届いていない地域を支援することを目的とした、NGO団体です。

世界の医療団で看護師として活動する場合、まずボランティア登録を行い、その後書類審査と二度の面接に通過することで海外のボランティアに派遣されます。また条件として看護師の場合、臨床経験2年以上と英語でのコミュニケーション能力、環境適応能力などが求められます。2023年時点で、海外ボランティアの募集は停止していますが、ボランティア登録のみは行うことができます。

参照:国際協力NGO 世界の医療団 (mdm.or.jp)

看護留学で看護師アシスタントとして働く方法

海外でさまざまな経験を積んでから国際看護師になりたいという方は、看護留学をして看護師アシスタントとして働くという方法もあります。現地の病院で働いてみることで、その国が自分にあっているのかを知ることもできるので、迷っている方は一度看護留学をしてみることをおすすめします。留学エージェントによって期間や内容は異なるので、自分にあったものを探してみてください。

日本で国際看護師として働く方法もある

海外で働く国際看護師のほかに、日本で外国人患者のサポートを行うといった国際看護師もいます。日本の外国人渡航者や労働者の増加を受けて、日本国際看護師(NiNA)制度が発足しました。役割としては、外国人患者とその家族が安心・安全な医療の提供を受けるためのサポートや医療通訳者との仲介なども行います。日本国際看護師に登録するには以下の5つの条件を満たしている必要があります。

  1. 日本の看護師免許を有していること
  2. 実務経験が5年以上であること
  3. 日本国際看護師(NiNA)養成研修修了者であること
  4. 日本国際看護師(NiNA)認定試験の合格者であること
  5. 国際臨床医学会正会員であること

参照:日本国際看護師(NiNA)とは|国際臨床医学会 (kokusairinshouigaku.jp)

日本と海外の看護師はどのように違うのか?

看護師免許の種類が多い

海外の看護師免許は日本に比べて細分化されており、免許によって行える業務の範囲が変わります。アメリカでは「認定看護助手」「公認看護師」「看護師」「看護学士」「専門看護学専門家」の順にレベルが分けられており、看護師、看護学士が最も割合の多い職種です。専門看護専門家は助産師、ナース麻酔医、ナースプラクティショナーなどの職種で、場合によっては医師と同等の権限を持ちます。

休暇が取りやすく残業もない

海外で看護師として働く場合、ワークライフバランスを整えやすいというのも特徴です。国によっては1か月ほどの長期休暇を取得する看護師もいます。また、業務範囲がはっきり区別されているため、残業もほとんどありません。受け持ちの患者以外はナースコールなども対応しないというのが一般的です。

海外で働く看護師の一日のスケジュール

アメリカの看護師の一般的な1日の流れを紹介します。

基本的に病院での勤務は日勤の場合、7時に開始します。

午前中

  • 夜勤の看護師からの引継ぎ
  • 受け持ちの患者の朝食用意と日常生活動作(ADLs)の補助
  • 患者のバイタル測定や薬の投与
  • 看護プランの作成

昼間

  • 患者の日常生活動作の補助
  • 昼間の薬の投与
  • 患者の問題に関する医師との打ち合わせ
  • 退院間近の患者へのリハビリ

午後

  • 点滴の確認や傷の手当て
  • 新規入院患者の看護プラン作成
  • 医師からの指示を受けた仕事を行う

シフトの終わりごろになると、次のシフトの看護師への受け継ぎの準備を行います。1日にあったことをすべて記録で残しておく必要があります。そして次のシフトの看護師が到着したら患者やその他の報告事項などを伝えて退勤します。アメリカではさまざまなシフトの組み方が存在しますが、12時間シフトが最も一般的です。

参照:A Day in the Life of a Registered Nurse | Study.com

まとめ

国際看護師として働くには、海外で資格を取得し看護師として働く、ボランティアとして活動する、日本国際看護師として働くなどさまざまな方法があります。自分の今後のキャリアや適性に合わせて、選んでみてください。

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この記事の監修者元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助
元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助 株式会社SOKKIN 人材副事業責任者

2014年にサイバーエージェントに入社。金融業界を中心に幅広い業界のクリエイティブディレクションに従事。その後、2023年より株式会社SOKKIN でクリエイティブ責任者として従事

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