看護職の求人に、看護体制の欄があり「7対1」や「10対1」と書いてあるのを見たことがある人は多いのではないでしょうか?
「患者さん7人に対して看護師1人が受け持つ体制でしょ」
と体制のことは知っていても、各体制ごとにどのような違いがあるのか全て把握するのは難しいですよね。
看護体制は、その病院の忙しさの一つともなる、勤務先を選ぶ際に重要な基準の一つです。
今回は、混同してわかりにくい人員配置基準と看護体制の違い、各看護体制の特徴などを紹介します!
看護の人員配置基準とは
医療法で定められた、一定水準の医療を実施するための人員
人員配置基準とは厚生労働省が定めた基準で、病院に入院している患者さんや介護施設に入居している利用者の数に対して必要となる医師・看護師・介護職員の数を設定しています。
例えば一般病棟では患者16人に対して医師が1人、患者3人に対して看護師が1人必要です。 これは施設の種類や病床数によって割合が変わります。
病床区分 | 職種 | |||
医師 | 薬剤師 | 看護師・准看護師 | ||
一般病院 | 一般 | 16 : 1 | 70 : 1 | 3 : 1 |
療養 | 48 : 1 | 150 : 1 | 4 : 1 | |
外来 | 40 : 2 | 75 : 1 | 30 : 1 |
人員配置基準は入院患者や入居者数に対して必要な雇用すべきスタッフ数の基準であり、患者数に対しての看護師の数ではないことに注意してください。看護師1名が受け持つ患者数の割合に関してはこのあとの看護体制部分で紹介します。
あくまでも「標準」であり「最低基準」ではない
人員配置標準を満たさない場合であっても、患者の傷病の程度、医療従事者間の連携等により、望ましい一定の医療水準を確保することが十分可能な場合もあるため、最低基準ではなく、「標準」とされている。
そのため、配置基準を下回っていても、医療サービスが十分であれば、必ずしも指導の対象とはならないようです。
ただし、必要な人員に達していないと都道府県が行っている立入検査の際に判断された場合、改善指導が行われます。
参考:厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について資料」
看護体制の種類
看護師1名が受け持つ患者数の割合に関しては、看護体制で知ることができます。
7対1
7対1看護は平成18年に新設された看護基準で、従来の10対1看護より手厚く看護が受けられるようになりました。
総合病院や大学病院などの急性期病棟で、重症患者が多いことが特徴。患者の入れ替わりも激しいため、1人の看護師が担当する人数を少なくし、手厚く看護できる体制をとっています。
10対1
7対1よりも1人の看護師が受け持つ患者数が多いため「忙しいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、7対1の病院に比べると医療の必要度が低い患者が多いため、看護師1人あたりの患者数が少し多くなっています。
13対1
医療必要度の低い患者のケアをする病院であることが特徴で、慢性期病棟や精神病棟、回復期リハビリテーション病棟などが多いようです。
患者の病状は安定しており、入退院による入れ替わりも少ないため、1人の看護師が10名以上の患者を受け持つ体制となっています。
常勤換算とは?
人数ではなく、勤務時間で数える
常勤換算では、労働力を実際の人数で数えるのではなく、勤務時間で数えるのが常勤換算です。
例えば、正社員とパートでは労働時間が異なるため、同じ1人の労働力として計算することが難しいです。
様々な働き方の方がいる場合、労働力を数値化するために「常勤換算」という考え方のほうが合理的です。
例えば、必要な看護師の数が常勤換算で5名の病院があるとします。
常勤看護師は週5日×8時間勤務で、通常週40時間の勤務時間となります。
週40時間働く人を1名とすると、週4日、5時間勤務、週20時間で働くパートの場合、常勤換算での人数は0.5名と計算できます。
必要な人員を労働時間に換算すると常勤5人×40時間=200時間になります。常勤看護師が3名配置されていると仮定すると足りない労働力は80時間です。
パート看護師を週5日、4時間勤務で雇用し、残り80時間を補填する場合、必要となるのは4名というふうに計算することができます。
看護体制で忙しさや待遇面がわかる?
7対1の場合
- 規模の大きい病院で、教育体制も整っているところが多い
- 重症患者の受け入れが多いため、看護スキルを身につけられる
- 病床数に対して看護師の数が十分な場合、他看護体制よりも負担が軽い
- 救急医療体制:3次救急まで
- 診療報酬が高いため、お給料が高い傾向
10対1の場合
- 基本的な看護スキルが身につく
- 医療必要度や看護必要度が低い患者さんが多いため、比較的負担が軽い
- 救急医療体制:3次救急があるところもある
13対1の場合
- 急性期ではなく退院や復帰を目指す療養期・慢性期の患者さんが多い
- 急性期がなければ、残業が少ない
- 給料が低い傾向
まとめ
看護体制を見てみると、患者さんの症状の傾向や得られるスキルにも違いがあることがわかりますね。
どの体制にもメリット・デメリットがあるため、自身がどういった働き方をしたいかに併せて勤務先を選びたいですね!
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理想の勤務先を探したり、将来の勤務先のイメージを具体的にするためにぜひご活用くださいね。