看護師は、患者さんの治療やケアを担当する重要な役割を持った医療従事者です。看護師になるためには、まず看護師国家試験に合格する必要があります。
看護師国家試験とは、厚生労働省が実施する国家資格試験であり、看護師法に基づいて定められています。試験は、一般的に年に2回行われ、筆記試験と実技試験で構成されています。
看護師国家試験を受験するには、まず受験資格を取得する必要があります。以下の4つの方法があります。
看護師国家試験とは
看護師国家試験は、看護師に必要な知識や技術を問うものであり、養成機関でしっかりと学び、対策を行えば合格することができます。ただし、試験の合格率は年々変動するため、受験前には過去の合格率や出題傾向を調べることが重要です。また、試験に向けての適切な勉強方法やアドバイスを得るために、養成機関や先輩看護師などの情報を積極的に活用することが大切です。
ここから、看護師国家試験について詳しく解説していきます。
看護師国家試験は2月中旬
看護師国家試験は以下の全国11か所の各都道府県にて年1度、2月中旬頃に1日かけて行われます。
- 北海道
- 青森県
- 宮城県
- 東京都
- 新潟県
- 愛知県
- 石川県
- 大阪府
- 広島県
- 香川県
- 福岡県
- 沖縄県
毎年同じ時期に試験が行われているので、その時期に完成することを目標に勉強を進めていくと良いでしょう。また、看護の養成学校にいると、試験の前の期間に実習などがある場合があります。その点も逆算して計画を立てていきましょう。実際の看護師からの声を聞くと、
受験当日には、体調不良や試験中のトラブルを防ぐために、以下の点にも注意が必要です。
- 試験会場への移動に余裕をもった時間を取る。
- 必要な持ち物(受験票や身分証明書など)を忘れずに持参する。
- 試験会場での服装は、暖かく動きやすいものが望ましい。
- 試験中は周りの受験生や試験監督の方々に配慮し、静かに試験に取り組む。
以上のような対策を行うことで、より安心して看護師国家試験に臨むことができます。
看護師国家試験の受験科目は10科目
看護師国家試験の受験科目は、以下の10科目です。
- 人体の構造と機能
- 疾病の成り立ちと回復の促進
- 健康支援と社会保障制度
- 基礎看護学
- 成人看護学
- 老年看護学
- 小児看護学
- 母性看護学
- 精神看護学
- 在宅看護論および看護の統合と実践
試験内容は、厚生労働省の看護国家試験出題基準にもとづいています。
出題問題数を以下に示します。
- 必修問題50問
- 一般問題130問
- 状況設定問題60問
上記のものを全て合わせて240問が出題されます。解答形式は全てマークシートで、記述の問題はありません。写真などの資格素材を用いた問題の出題もあるので、対策が必要です。
ここで注意したいのが、必修問題です。必修問題は80%以上の正答率をクリアしなければ、他の部分の問題の正答率がどれだけ高くとも不合格となります。また、一般問題と状況設定問題については毎年合格ラインのボーダーが上下するので、必修問題で確実に80%以上正答できつようにすることが重要です。
出典:厚生労働省 看護師国家試験の施行
看護師国家試験の合格率は90%以上
実は、看護師国家試験の合格率は90%以上と非常に高く、しっかり勉強していれば合格することができる試験です。
年度 | 看護師国家試験合格率 |
平成28年度 | 96.3% |
平成29年度 | 94.7% |
平成30年度 | 94.7% |
令和元年度 | 94.7% |
令和2年度 | 95.4% |
受験者数は例年5万人から6万5千人程度で、そのうちの90%以上が合格していることになります。看護師国家試験は、あくまでも国家資格を取得するために必要な試験であり、必要な基礎知識を問うものです。合格率が高いことは、十分に準備をすれば合格できる可能性が高いことを示しています。ただし、試験に合格したからといって看護師として十分に活躍するためには、養成機関で学んだことを実践し、経験を積んでいくことが重要です。
看護師養成課程のある学校で3年間以上学ぶ
看護師国家試験は、看護師になるために必要な資格であるため、一定の基準を満たした者のみが受験資格を得ることができます。具体的には、文部科学大臣の指定した大学や学校で学び、一定の単位を取得することで資格を取得するため、その条件を満たしていることが必要です。
以下に、看護師国家試験の主な受験資格を示します。
- 文部科学大臣の指定した大学で看護師になるために必要な学科を履修し卒業した者
- 文部科学大臣の指定した学校で3年間以上看護師になるために必要な学科を履修し卒業した者
- 都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者
- 准看護師免許取得後3年以上業務に従事している者
- 准看護師免許取得後、指定大学や指定学校または養成所で2年以上修業した者
看護師国家試験を受験するためには、文部科学大臣の指定した看護系大学や専門学校、養成所などで指定の期間以上学ぶ必要があり、受験手続きの際には指定の学校を卒業した旨の証明書を提出する必要があります。
また、最短で看護師になるルートはこちらの記事で解説しています→最短だと何歳で看護師になれる?学歴別看護師になる方法、看護師試験の合格率を調査!
看護師国家試験の受験資格を取得するための4つの方法
看護師を目指す場合、最初に取るべきステップは、看護師国家試験の受験資格を得ることです。この受験資格を取得するには、看護師として必要な知識や技術を習得するために、養成施設で学ぶ必要があります。
一般的には、高校卒業後に看護大学、看護短期大学、看護専門学校などに進学する方法が一般的です。こういった施設では、看護師に必要な知識や技術を体系的に学ぶことができます。また、高校で5年一貫看護養成課程校に進学することもできます。こちらは、早期に看護師になることを目指す場合におすすめです。
ここから、看護師国家試験の受験資格を取得するための、代表的な4つの方法をご紹介します。
看護大学で学ぶ
看護大学や看護系学部は、看護師の資格を取得するために4年間の教育を提供する大学です。
これらの大学では、看護師に必要な知識や技術を体系的に学ぶことができます。また、保健師や助産師になるためのプログラムも用意されている大学もあります。そのため、将来的に幅広い活躍の場を広げたい方や、時間をかけてじっくり学びたい方、学問的な視点から看護を学びたい方におすすめです。
看護師国家試験の受験資格を得るためには、時間がかかりますが、卒業時には大学の卒業資格も取得できます。そのため、学歴においては他の3つの方法よりも高くなります。
また、大学によっては一般教養の履修も可能であり、時間的にもゆったりと学ぶことができます。これにより、看護に関することだけでなく幅広い視野で知性と感性を磨くこともできます。
最近では看護大学の多くには大学病院が併せて設立されており、自らの興味や関心がある分野についてより深く学んだり、研究することができます。
また、大学によっては、独自のカリキュラムや特色を持っていますので、看護大学を受験する際には、よく調べてみることをおすすめします。
看護短大で学ぶ
看護師になるための教育を提供する短期大学には、2年制と3年制の2種類が一般的ですが、看護系の短期大学は3年制のみとなっています。
全国的に数が少なく、大学の医学部や大学病院の附属校が多くを占めます。短期大学では、看護の知識だけでなく一般教養科目も履修するため、コミュニケーション能力や社会人としての考え方を身につけることができます。
在学中は一般教養科目もあるため、毎日の勉強時間は相当ハードになりますが、卒業後には短期大学卒業の資格を取得できます。
短期大学は4年制の看護大学より1年早く卒業できるため、看護師国家試験に短期間で挑戦したい方にはおすすめの方法です。ただし、短期大学は数が少なく競争率も高いため、入学を希望する場合は早めの準備が必要です。
看護専門学校または養成所で学ぶ
看護専門学校や養成所の授業のうち、看護実習の時間は半数以上を占めることが多いです。また、入学資格には高等学校卒業資格が必要な場合がほとんどですが、社会人入学制度を設けているところもあります。社会人入学制度では、実務経験を持った人が入学し、専門性を高めたり、再度学び直したりすることができます。
5年一貫看護師養成課程校で学ぶ
5年一貫看護師養成課程は、2015年度より導入された看護師養成課程改革により、新設された養成課程の一つです。現在、一部の高校に設置されており、全国的にはまだ数が少ない状況です。ただし、今後も需要に応じて設置が進むことが期待されています。また、5年一貫看護師養成課程校以外の高校からも看護学部に進学することで、同様に看護師国家試験の受験資格を取得することができます。
まとめ
看護師には、医療現場で必要な知識や技術を習得するだけでなく、患者さんやその家族とのコミュニケーション能力や協働性、エチカルな観点など、さまざまなスキルが求められます。
看護師になるためには、まずは看護師国家試験の受験資格を取得し、その後、試験に合格する必要があります。看護師の仕事はやりがいがある反面、責任も重く、患者さんの命にかかわる大切な仕事です。そのため、看護師になりたいと思う方は、十分に情報を収集し、自分自身が看護師に向いているかどうか、またその道を選んだときにはどのような働き方をしたいかを考えた上で進路を選択することが大切です。
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