エスコートナースという看護職をご存じですか?
海外ではフライングナースとも呼ばれ、まさしく「空飛ぶ看護師」の名の通り、世界各国を飛び回り看護対応をするお仕事です!
今回は、まだまだ日本では知名度が低いエスコートナースのお仕事内容や、必要とされるスキル詳細を紹介します。
エスコートナースとは?
海外で傷病が起きた患者さんが自国に戻るまで付きそう看護師
エスコートナースは別名「搬送看護師」ともいい、文字通り自力では移動できない患者さんや、移動中に診療が必要となる患者さんに付き添って看護をします。
仕事の対象となるのは海外在住の日本人のみならず、海外旅行や出張で日本に来ていた海外からの旅行者を自国にまで広範囲に及びます。
よくあるエスコートナースの看護対象の例は下記のとおりです。
- 海外旅行中に病気や怪我になった患者
- 出張や海外赴任中に病気や怪我になり帰国したい患者
- 海外在住で病気や怪我になり帰国を希望している患者
いずれも共通点として挙げられるのは「海外」「病気や怪我」「帰国」です。
患者の状況や事情によっては海外から日本というルートだけでなく、海外のある国から別の国への移動に付き添うという場合もあります。
エスコートナースの仕事内容
患者さんの容態を維持し、悪化させないことが使命
エスコートナースは海外で日本人看護師や日本語を話す看護師を必要とする患者に対し、プロとして付き添って安全に希望の場所に送り届ける役割を担っています。
ときには日本から近い場所にいるということで、海外の方を更に他の国へ搬送するときに必要とされることもあり、英語が話せることは必須スキルです。
ただでさえ言葉や文化の異なる外国にいることは緊張することなのに、更に病気や怪我をした場合の不安は計り知れません。
エスコートナースは、そういった特殊な環境下の患者さんの不安を和らげ、かつ医療行為ができる施設に搬送できるまで適切な看護ケアを行うことが求められます。
具体的なエスコートナースの業務内容
- 患者の看護と療養上の世話
- 医師がいる場合は診療の介助
- 患者の健康状態の管理と急変時の処置
- 現地の医療機関とのコミュニケーション
- 家族(同行者)のケアとサポート
患者の症状や様態にもよりますが、一般的には患者の健康状態の観察やバイタルサインのチェックと記録、患者や家族・同行者のケアとサポートが中心になります。
基本的な看護業務は日本国内にいるときと大きな違いはありませんが、異なる部分は医師が必ずしも入るわけではないということと、海外という看護師自身も不慣れな土地で適切な対応を求められるということです。
医師もおらず、自分ひとりという誰にもそう環境下の中、状況に合わせた適切な対応が求められるため、救急医療の現場に求められるような、柔軟な対応と豊富な知識がなければ務まらないお仕事です。
エスコートナースに求められるスキル
語学力
海外で仕事をする関係上、語学力(特に会話能力)は不可欠です。基本的に使用する言語は英語ですが、フランス語やドイツ語、イタリア語などができれば仕事の幅が広がるでしょう。
他にもアラビア語、中国語、韓国語なども需要があります。
コミュニケーション力
患者さんが搬送された医療施設から移動するに当たり、海外の医療機関のスタッフから説明を受けたり、こちら側の要求を伝えるための交渉を行なうためのコミュニケーション力が欠かせません。
移動途中の交通機関や宿泊場所、食事などに関して要求や説明を行なう必要も出て来ます。
看護知識と技術
お仕事内容の部分でも記載しましたが、臨機応変な対応ができるように幅広い看護知識や技術も必要になります。
具体的には、実務経験が最低5年以上ある看護師がエスコートナースとして採用される傾向があるようです。
エスコートナースでは、症状に合わせて患者さんが診療所に訪れる通常の業務とは異なり、さまざまな患者の看護をする機会があります。また、とっさの場合の知識や判断力も求められるでしょう。
体力と精神力
緊急での呼び出しで、深夜にいきなり今すぐ空港に行ってフライトに乗る必要が出てきます。
長時間の移動に耐え得る体力に加え、不測の事態に対応できる精神力、慣れない海外での傷病で不安になっている患者さんや家族、同行者への気遣いができる気力も必要です。
看護師の資格
海外で現地の看護師として病院に雇われて働く場合には国ごとの看護師免許を取得する必要がありますが、エスコートナースとして海外で働く際には日本の看護師免許があれば十分です。
エスコートナースになるには?
看護師の派遣会社に登録する
依頼主は患者本人のほか、家族や旅行の同行者、ツアー会社、社員を海外赴任させている企業であり、看護師を現地に派遣させる業務を行なっている派遣会社(エージェント)を通じて依頼が来ます。
そのため、エスコートナースとして働きたい場合は派遣会社への登録が必須となります。
単発での募集がほとんど
エスコートナースが必要とされるのは、突発的な緊急事態が起きた場合のみなので、エスコートナースとして働くだけでは生計を立てるのが厳しいかもしれません。
急な召集がかけられるのがエスコートナースなので、一般病院でフルタイムで働いている看護師というよりは、経験を積んだあと、フリーランス看護師になった人や、外国人向け病院などで働いていて融通が効く環境でなければ、エスコートナースとして働くのは難しいでしょう。
そういった事情もあり、現状日本におけるエスコートナースの数は10人にも満たないと言われています。
まとめ
コロナ禍が始まる前、2019年まで訪日外国人旅行者の数が右肩上りに増え続けていました。
現在は入国制限の規制も緩和され、これまで旅行できなかったこともあり海外からの訪問者が大きく増えることが予想されます。
こういった背景からもますます需要が増えそうなエスコートナース。
グローバルな環境で働くことを目指している方や、習得している言語を活かして働きたい方は、エスコートナースとして派遣エージェントに登録してみてはいかがでしょうか?
「看護なび」では看護師専門の求人情報を掲載しており、地域別、雇用形態、職種、勤務時間、給与など、様々な条件で求人検索ができますよ。
理想の勤務先を探したり、将来の勤務先のイメージを具体的にするためにぜひご活用くださいね。