先日、看護師と准看護師の違いをまとめた記事を公開しました。
記事:「正看護師と准看護師の違いとは?|それぞれなるための方法や必要な資格の違いを解説」
大きくは下記3点が大きな違いでしたね。
- なり方が異なる
- 必要な資格が異なる
- キャリアパスが異なる
この他、看護師は自身の判断で特定の医療行為を行ったり、看護計画を考えることができますが、准看護師は医師または看護師の指示なしには一切医療行為ができません。
じつは、対応する業務自体にはバイタルチェックや患者さんの介助など、看護師と准看護師の間にほとんど差がありません。
ではなぜ、この2種類の区分が生まれたのでしょうか?
また、なぜ准看護師制度の廃止が検討されているのでしょう?
今回は、そもそもなぜ2種類の区分が生まれたのか、准看護師制度の廃止に関して現状どうなっているのかなどをまとめました。
なぜ看護師と准看護師の違いは生まれた?
もともと准看護師は一時期な措置として生まれた制度
准看護師の制度ができたのは第2次世界大戦後ころ。
この頃、結核が蔓延しており看護師が全く足りていませんでした。この問題を解決するために、高校を卒業していなくても、中学卒業していれば目指すことができる、看護師を補助できる資格として准看護師が制定されました。
つまり、一時的な看護師不足を解消するための施策だったわけですが、現在でも看護師不足は解消しておらず、今日まで存続しています。
本当に准看護師制度は廃止されるのか?
今すぐ准看護師の制度がなくなるわけではない
准看護師制度の廃止は、1990年代から議論されており、今現在も結論が出ていません。
ただ、准看護師制度の廃止の動きの一環として、2013年に神奈川県では「准看護師の養成を停止」し、准看護師養成所がない状態になっています。
新たな准看護師の数には影響が出てきていますが、現状准看護師の制度が廃止されたとしても、働き方を変えるためには保健師助産師看護師法の改正が必要なため、すぐにいろんなことが変わることは考えにくいです。
看護協会と医師会で意見が対立している
30年近くに渡る議題ですが、看護協会と医師会で意見が対立していることも決着がつかない要因の一つです。
看護協会の意見
日本看護協会は、正看護師への一本化を指示しています。
理由は、高度に発達した今の医療技術では、看護師にも高い専門性が求められ、かつ自律的に判断し行動することが必要だと言う意見です。
また、資格を正看護師一つに集約し、これまでの准看護師への看護師資格取得を支援するなど、全体的な専門知識の向上を求めています。
医師会の意見
医師会は、准看護師は医療業界に不可欠だと説いています。
その理由は、准看護師は初期医療はもちろん、福祉施設など高齢者の療養分野を大きく支えており、地域医療にとって准看護師の存在が大きいためです。
また、准看護師が看護師を目指すことを反対していることは全く無く、様々な事情から准看護師を目指している人を廃止活動で傷つけていることが問題だと考えています。
現状、准看護師の養成所、並びに志願者は減っている
制度として准看護師の制度がなくなっているわけではないものの、准看護師養成所への志願者が減少していたり、それに伴い養成所の数も減ってきています。
准看護師を目指している人が減ってきている問題としては、やはり正看護師と比べると求人が少なく、待遇やキャリア面でもデメリットが目立つことも要因としてあるでしょう。
ただ、女性の方の場合、子育てが一段落し、安定した仕事がしたい場合の選択肢として准看護師は需要と供給に適っていましたので完全に制度がなくなると困る人も多々いるのではないでしょうか。
准看護師が廃止されたらどうなる?
看護師養成所で学んで看護師を目指す
事前に述べた通り、制度の廃止が決定したとしてもいきなり全てが変わることは考えられませんが、すでに准看護師として働いていた場合、看護師養成所に2年間通い、正看護師を目指すことになるでしょう。
もしくは、介護職であれば無資格でも働け、かつ准看護師の資格を保持していたとなると重宝されるでしょう。
ただ、正看護師になることでさまざまなメリットがあるので、もしも実際に廃止になった場合は前向きに正看護師を目指してみてもいいのではないでしょうか。
まとめ
私個人としては、看護協会も医師会の意見も分かる部分があると感じました。
どちらかというと、准看護師を目指している人の背景や環境を無視して一方的に廃止を決めてしまうのはいかがなものかとも思います。
現状として、看護師になるための養成所は時間も学費もかかってしまい、なりたくても慣れない人もいる課題があると思います。
もしも資格の一本化を目指すのであれば、こういった課題も汲んだ上で制度が改正されるのを願うばかりです。
「看護なび」では看護師専門の求人情報を掲載しており、地域別、雇用形態、職種、勤務時間、給与など、様々な条件で求人検索ができます。
理想の勤務先を探したり、将来の勤務先のイメージを具体的にするためにぜひご活用くださいね。