看護師の評価基準とは?|クリニカルラダーなど評価方法を紹介

お仕事

ただ毎日、同じことを目的や意識なく続けていても、そのタスクは慣れて問題なく対応できるようにはなりますが、成長には繋がりませんよね。

同じタスクであっても「なぜそのタスクを行うのか」「タスクの目標や、より良い対応方法があるのではないか」と達成すべきところに向けて意識しながら業務をすることで成長することができます。

これは看護師自身の能力にも同じことがいえます。

勤務先から評価項目が設定され、どういう人材になってほしいかを示すための指標をクリニカルラダーと呼びます。

今回はクリニカルラダーがどういった評価システムなのかを紹介します。

なぜ看護師の評価基準が必要?

大切なのは勤務年数ではなく、経験の質

冒頭でも少し触れましたが、勤続年数が長くても毎日同じことを目的や意識なく続けたとしても、タスクに慣れるだけで看護の質が上がるわけではありません。

ラダー(はしご)のように、段階的にその時々のステージによって「現在自分が何をできるのか」「求められている課題に対しどの様に習得すればいいのか」などを可視化することで、何をすればいいのかが明確になります。

また、職場によってはラダーの段階ごとに昇給するなどの制度を導入しているところもあります。

ラダーは面倒くさい?

とはいえ、ただでさえ日々の業務に忙殺されているのに、評価されるためのレポートやテスト、課題や研修参加など更にやらなければいけないことが増えてしまい「面倒くさい」となってしまいますよね。

これはラダーシステムに問題があるのではなく、運用側に問題があるといえます。

評価システムがうまく機能することで、職場は優秀な人材が確保でき、看護師自身はキャリアアップにも繋がります。

ラダーシステムの導入は必須ではなく、各施設ごとに導入を決められるため、導入を検討している病院は事前に評価する側・される側に負担がないような体制を整えてから導入する必要があるでしょう。

看護師のラダーの目標例

日本看護協会が提唱しているクリニカルラダーでは、

看護の核となる実践能力を「看護師が倫理的な思考と正確な看護技術を基盤に、ケアの受け手のニーズに応じた看護を臨地で実践する能力」

とし、看護実践能力を下記の4つに分類しています。

  1. ニーズを捉える力
  2. ケアする力
  3. 意思決定を支える力
  4. 協働する力

4つの力はそれぞれ5段階に分かれ、段階ごとに目標・行動目標が変わります。

また、病院によってはこのラダーをカスタマイズし、独自のクリニカルラダーを運用しているところもあります。

4つの要素ごとにレベルが5段階設定されており、要素ごとに少しずつ定義は異なりますが、おおよそ共通している部分を一部抜粋して紹介します。

レベル1: 初心者

目標

基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する

目標定義

上司や先輩など、周囲から助言を受けつつ、患者さんの状況ごとにニーズをとらえ、安全な看護を実践することや、適切に関係者と情報共有できることなどが目標です。

レベル2: 新人

目標

標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する

目標定義

自ら患者さんや状況におけるニーズをとらえ、それに応じた看護を実践すること、看護を展開するうえで必要な関係者を特定し、情報交換ができることなどが目標になります。

レベル3: 一人前

目標

患者さんに合わせて、個別的な看護が実践できる状態

目標定義

患者さんの状況の特性をふまえて優先度の高いニーズをとらえたうえで看護を実践することや、患者さんや周囲にいる人の意思決定に必要な情報提供および場の設定ができること、患者さんや関係者、多職種と連携できることが目標です。

レベル4: 中堅

目標

幅広い視野で、予測的判断を持って看護が実践できる

目標定義

患者さんや状況を統合してニーズをとらえ、さまざまな看護スキルを選択・応用して看護を実践すること、患者さんや周囲の人々の意思決定に伴うゆらぎを共有して選択を尊重できること、患者さんを取り巻く多職種の力を調整して連携できることなどが目標です。

レベル5: 達人

目標

より複雑な状況においても、患者さんにとって最適な手段を選択し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めるための看護が実践できる

目標定義

患者さんや状況の関連、意味をふまえながらニーズをとらえ、最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践できること、複雑な意思決定プロセスにおいて多職種も含めた人々の調整的役割を担えること、患者さんの複雑なニーズに対応できるように多職種の力を引き出し連携に活かせることなどが目標です。

参照:看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)

ラダーを活用する流れ

実際に上記の評価基準を活用するためには、下記のステップに沿って行うことが多いです。

 個人目標を設定する

まずは自身の段階に合った個人目標を設定しましょう。

客観的に今自分ができていること・できていないことを整理した上で思い描いている「理想の自分」に到達するために必要なことを目標として書き出します。

とはいえ、自分自身を客観的に見るのは難しいので、先輩や教育担当者に相談しながら深掘りしていきましょう。

OJTや研修を通して目標達成を目指す

個人目標を達成するためにもOJT(On the Job Training)や研修に参加して必要な知識や経験を積みましょう。

また、評価期間以外でも積極的に「自身が足りていないものがなにか」を評価担当者に確認し、情報を取得するようにしましょう。

レポートやテストで目標への到達度をチェック

今の自分の現状を定期的にレポートにまとめることで、自身のステータスを客観的に見るのに役立ちます。

また、評価期間の前から定期的にまとめておくことで、何を評価担当者に伝えればいいのか悩まなくて済みます。

自己評価・他者評価をすり合わせ現状を評価

ラダーの各段階の到達目標は、自己評価と他者評価によって達成度を把握できます。

自己評価→次に同僚評価→上長評価と続き、各段階に立てた個人目標を達成しているかの評価を行うことによって、どの段階にいるのか評価が決定します。

相互評価を行うことによって、評価のギャップを知ることができ、自分では気付くことができなかった課題を見つけることができます。

まとめ

評価されるとなると緊張もしますし、お給料にも関わってくるとなると心穏やかではいられないですよね。

また、この評価基準では患者さんとのコミュニケーションを重視した点や、円満に仕事が進むような気配り部分のヒューマンスキルは評価されにくいという課題もあります。

ただ、自身の知識やスキルが向上することで心の余裕が生まれ、自身の看護観を大切にしたケアができるようになるという一面もあります。

闇雲にスキルアップを目指すよりは、段階的に「どうすればいいのか」を示してくれるクリニカルラダーを活用して、理想の看護師を目指していきたいですね。

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理想の勤務先を探したり、将来の勤務先のイメージを具体的にするためにぜひご活用くださいね。

この記事の監修者元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助
元サイバーエージェントクリエイティブディレクター:松浦準之助 株式会社SOKKIN 人材副事業責任者

2014年にサイバーエージェントに入社。金融業界を中心に幅広い業界のクリエイティブディレクションに従事。その後、2023年より株式会社SOKKIN でクリエイティブ責任者として従事

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