看護師はどんな医療行為が出来る?|看護師と医者の役割違いを調査

注射をする看護師 お仕事
 看護師と医師は互いに協力して患者さんの治療に臨みます。
それぞれ役割や求められている業務範囲は異なりますが、具体的に看護師が出来る医療行為にはどういった物があるのでしょうか?
今回は、どういった行為が医療行為に当たるのか、看護師と医師で行える行為の違いについてまとめました。

そもそも医療行為とは?

医療行為の分類は2種類ある

医療行為とは、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為」あるいは「医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは、生理上危険ある程度に達している行為」と定義づけられています。

言い換えると、医師の資格を持っている人でなければ医療行為はできない、という意味です。

ただし、医療行為には2種類あり、医師の指示のもとであれば医師以外の医療従事者にも行える特定の医療行為があります。

2種類とは、医師の資格をもつ人しか行えない絶対的医療行為と、医師以外の医療従事者などが行える相対的医療行為があります。

絶対的医行為

医師の専売特許とされ、医師以外の者が行うことができない医療行為のことです。

  • 手術や麻酔
  • 内視鏡検査
  • 病理診断など

相対的医行為

医師だけでなく、他職種の医療従事者や患者自身が行える医療行為のことを指します。

  • 患者の健康状態や症状の観察
  • 体温測定
  • 脈拍・呼吸数の測定
  • 傷口の清拭・消毒
  • 薬剤の投与
  • 食事介助
  • リハビリテーションなど
この他にも、健康状態によっては医行為の対象にならない行為もあります。

看護師と医師で出来ることの違い

看護師と医師の職業資格と行為は、看護師法と医師法によって明確に定められています。

医師法

医師法とは、医師の資格の取得や行為の規制に関する法律です。

医師の行為の範囲が定められており、一部抜粋した例は下記のとおりです。

  • 診察・診断
  • 検査行為のうち内視鏡を用いた検査など、体に負担をかける行為
  • 適切な薬の処方
  • 手術

一部の項目を見るだけでも、重要な医療行為は医者にしかできないことがわかりますね。

医療行為の定義の他、医師法には医師の免許取消しや厳重注意処分などの処分規定も含まれており、医師が職業倫理を守り、質の高い医療を提供するために必要な事項が定められています。

看護師法

看護師法は、看護師の資格の取得や行為の範囲を定めた法律です。医師法同様、看護師の行為の範囲が定められています。

  • バイタルチェック(呼吸、体温、血圧、脈拍)
  • 全問的な知識を必要としない怪我の処置

他にも、患者さんの健康状態に異常がなければ行える行為もあります。

  • 爪そのもの、またほか疾患に影響がない場合、爪切り
  • 口腔内の清掃
  • 耳掃除
  • ストマ装具の排泄物処理
  • 自己導尿の介助

看護師は、医師と協力して患者の健康を支援することが求められています。

耳掃除や爪切りなど、一見日常的に行っている行為に見えますが、例えば糖尿病患者さんの場合、症状によって爪に異変が出ることもあるため、安易に爪を切ってしまうと症状経緯が見れなくなるなどの問題も出てきます。

基本的には、医師の診断を仰いで看護師が出来ることを確認する必要があります。

看護師は自身の判断で医療行為はできない

医師の指示があれば特定の医療行為が出来る

上記で説明した医師法内の17条でも「医師でなければ,医業をなしてはならない。」と定められており、看護師は医師ではないので医療行為をできないことになります。

その一方で、保助看法37条にて「保健師,助産師,看護師又は准看護師は,主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか,診療機械を使用し,医薬品を授与し,医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。」として,医師らの指示に基づくことで例外的に看護師が一定の医行為を行い得ることを定めています。

看護師が出来る医療行為

診療補助業務

医師が行う診察、処置、手術などの業務に対して、看護師が医療行為の補助を行うことができます。たとえば、処置や手術の前後の準備や片付け、診察の補助などが挙げられます。

診療支援業務

医療現場において、医師の診療を支援する業務を行うことができます。たとえば、患者の健康管理や状況の観察、医師の指示に基づいた処置や薬の投与、患者教育などが挙げられます。

医療相談業務

患者や家族、医療従事者からの医療相談に応じ、適切なアドバイスや情報提供を行うことができます。

看護師独自の業務

看護師が独自に行う医療行為として、患者の健康管理やケアプランの策定、看護記録の作成、看護研究などが挙げられます。

特定行為研修を受けると、出来る行為が増える

特定行為研修を受けると、出来る行為が増える

研修を受けることで、専門的な知識や技術を身に着け、医師から共有された手順書に沿って特定の医療行為が出来るようになります。
特定行為研修は、全ての特定行為に共通する知識や技術を学ぶ「共通科目」と、特定行為区分ごとに学ぶ「区分別科目」に分かれていて、その両方を受講する必要があります。
特定行為研修は時間がかかる研修なので、取得を希望する場合は事前に勤務先に相談して、どの区分の研修をするのか検討しましょう。
日本看護協会のWebサイトにて、特定行為の21区分詳細を見ることができます。

特定行為の一例

  • 人工呼吸器からの離脱
  • インスリンの投与量の調整
  • 創部ドレーンの抜去
  • 中心静脈カテーテルの抜去
  • 胸腔ドレーンの抜去

迅速な医療行為が期待できる

病棟にもよりますが、医者は多くの患者さんを同時に受け持つ必要があるため、全ての医療行為を医師自身が対応していると、対応が遅くなってしまう恐れがあります。
特定研修を受けた看護師であれば、あくまで医師の手順書に従う必要はありますが、看護師自身の判断で医療行為を行えるため迅速な対応が可能になります。

まとめ

一体どこまでが医療行為に当てはまるのか、明確な線引がないと判断が付きづらいところもありますよね。

平成28年に厚生労働省から通知された、「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」にて、より詳細に「医療行為ではない」といった行為が定義されました。

看護師は医師の指示の下、適切な医療行為を対応することを求められますが、特定行為研修を受けることで対応出来る幅が広げることができます。

その分、キャリアップにも繋がり看護師としての市場価値も上がりますので、研修を受けることを前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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