看護師の給料が上がるらしい?|どういった施策が行われたのか解説!

お仕事

日本では高齢化が進み、医療現場でも人手不足が深刻化しています。その中でも、看護師は医療の中核を担う重要な存在であり、その役割の重要性が高まっています。

そういった背景もあり、看護師の給与アップに対する要望の声は、近年高まっています。日本看護協会が実施したアンケートでは、看護師の7割以上が「給与アップが必要である」と回答しており、その理由として「仕事内容や負担に見合っていない」「他の職種に比べて相対的に低い」といったものが挙げられています。

また、看護師不足が深刻化していることから、看護師の需要が高まる中、競争力を高めるためにも給与アップが求められています。

今回は、給与アップは実際に実施されたのか、またこれまではどういった施策が行われてきたのかなどを紹介していきます。

 

          看護師のお給料の現状は?

勤務地や施設によって異なる

看護師には、病院やクリニック、介護施設など、さまざまな職種があり、それぞれの職種によって給与水準が異なるため平均賃金は一概には言えません。

ですが、一般的に病院で働く看護師の方が、クリニックや介護施設で働く看護師よりも給与水準が高い傾向があります。

新人看護師の場合、賞与や各種手当なども含めると、年収に換算すると約350〜450万円程度となる場合が多いようです。

看護師の給料ってどれくらい?|年代別のお給料の違いや世界で看護師のお給料が高い国を調査!」の記事で看護師のお給料の詳細をご紹介しましたので、もし興味があればぜひ読んでみてください!

 

        看護師のお給料が全体的に上がった時期

看護師の賃金の自由化

2006年には、看護師の賃金の自由化が行われ、看護師の給与が大幅に改善されました。

看護師の賃金の自由化とは、看護師の給与が、それまでの国家基準の範囲内で固定されていた制度から、職場や企業の事情に合わせて自由に定められるようになった制度のことです。

この制度は、2001年に制定された「看護師等の国家資格保有者の賃金の適正化に関する法律」により、看護師の賃金の改善が目的として設けられました。

給与の地域格差が出てくるように…

賃金の自由化により、看護師の給与は地域や施設によって格差が生じることになりましたが、一方で、医療機関が看護師の賃上げに積極的に取り組むことで、看護師の給与は上昇傾向にあります。

例えば、2015年の厚生労働省の調査によると、看護師の平均年収は前年比で約5.5%増加し、平均月収は約46万円となっています。この増加傾向は、看護師不足が深刻化していることや、医療制度の改革などが背景にあります。

 

                   看護師賃金改善要望書って?

職場や組織、政府などに提出する要望書

看護師賃金改善要望書とは、看護師が自分たちの給与改善を求めて、職場や組織、政府などに提出する賃金改善要望のことです。具体的には、看護師の初任給の引き上げや、夜勤手当の見直し、キャリアアップに伴う昇給制度の改善、退職金の導入などが提言されています。

また、2022年4月に施行された「医療従事者労働環境改善法案」により、看護師の労働環境が改善されることが期待されています。具体的には、残業時間の上限規制や休日出勤手当の見直しなどが盛り込まれています。

2022年12月には、日本看護協会や日本看護協働機構などが、看護師の給与改善を求める「看護師賃金改善要望書2023年版」を政府に提出しました。

しかし、引き上げ幅については、政府や業界団体の提言があるものの、実際にどの程度実現されるかは未定です。また、医療費の高騰や財政状況なども影響するため、今後の動向に注目が必要です。

 

            「医療従事者労働環境改善法案」ってなに?

2022年4月に施行された「医療従事者労働環境改善法案」は、医療従事者の労働環境改善を目的とした法律です。具体的な内容は以下の通りです。

残業時間の上限規制の導入

従来は、医療従事者の残業時間は1日8時間までとされていましたが、法案では、残業時間を1日5時間までに制限する規定が導入されました。ただし、緊急時などの特例的な場合は、5時間を超える残業が許可されます。

休日出勤手当の見直し

医療従事者の休日出勤手当は、従来は法定労働時間外手当と同じ水準で支払われていましたが、法案では、休日出勤手当の倍率を法定労働時間外手当の1.25倍以上に引き上げることが義務付けられました。

定期健康診断の導入

法案では、医療従事者に対して、定期的に健康診断を実施することが義務付けられました。これにより、労働者の健康管理に配慮することが目的とされています。

緊急時の勤務条件の整備

災害時などの緊急時においては、従来は医療従事者の労働時間や休暇等の規制が緩和されることがありましたが、法案では、緊急時においても労働条件の遵守が求められるようになりました。

                                                   まとめ

2000年代前半から徐々に待遇が改善されてきている!

2022年2月に日本看護協会が行った調査によると、看護師の平均月収は前年比で約1.1%増加し、初任給も前年比で約0.2%増加しています。しかし、引き上げの動きがあるものの、まだ完全に課題が解決されたわけではありません。

とはいえ、過去の事例からも少しずつ看護師の労働環境改善に向けた取り組みが進んでいることも事実。

まだまだ改善が必要な状況ではありますので、看護師たちが結束して要望書を提出し、政府や組織に働きかけることが、改善に向けた重要な一歩となります。

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